小規模宅地等の特例と建て替えについて
1. 居住継続要件と保有継続要件
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、一定の要件に該当するものを特定居住用宅地等といいます。特定居住用宅地等に該当すれば宅地等の評価額を80%減額できるため、適用の有無により相続税の計算上大きな差ができます。
また、この特定居住用宅地等を相続により同居親族が取得する場合には、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつその宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有している必要があります。ただし、配偶者が取得した場合のみこれらの要件はなく、申告期限までに引っ越しても売却しても、その適用が受けられます。
それでは、次のケースを考えてみましょう。
2. 相続開始時点において、建替え中であった場合
自宅の建て替え中に父が亡くなり、同居していた息子がその宅地を相続しました。相続開始時においては、近隣の賃貸アパートに仮住まいでした。
新しい家が完成したら引き続きそこに居住しようというとしていたのに、たまたま建替え中だったというだけで小規模宅地等の特例が適用できないのは気の毒すぎるので、この場合は適用できるという判断になります。
3. 相続人の意思で、申告期限が到来する前に建て替えた場合
それでは、同居していた息子が相続により取得した後、息子が自分の意思で申告期限前に建替えた場合はどうでしょうか。
相続後に相続人の意思が介入するため、一見、適用できなくても仕方がないという判断になる気もしますが、この場合も上記2と同様に要件を満たすものとして適用を受けることができます。少しでも早く建て替えたいけれど、相続税が増えてしまうので申告期限までは我慢!・・・する必要はありませんね。