暦年贈与と精算課税、どっちがお得?

(1)暦年贈与と相続時精算課税制度 

贈与税は原則として暦年単位で課税されます。その年分に受けた贈与財産の額が110万円以下ならば非課税、超えれば申告の必要があるという制度です。これに対して、その者(通常は父や母)からの贈与について、その者が亡くなった際にはその全てを相続時に遺されていた財産に加算して相続税の計算を行うというのが相続時精算課税制度です。

 

(2)持ち戻しの期間が3年から7年に【暦年贈与 増税

相続又は遺贈により財産を取得する者が暦年贈与を受けていた場合、これまでも相続開始前3年以内の贈与については持ち戻す(=相続税の申告時に財産に加算する)必要がありましたが、この期間が7年間に伸長されました。そもそも相続により財産をもらわない孫等は影響を受けません。

 

(3)100万円の非課税枠の創設【暦年贈与 減税

上記(2)により持ち戻し期間が4年間増えましたが、この新たに対象となる4年間の贈与額を相続税の課税価額に加算する際に、合計で100万円を控除(非課税枠)することができるようになりました。

 

(4)相続時精算課税制度にも基礎控除額の創設【相続時精算課税制度 減税

これまで、相続時精算課税制度を一度選択したからには、その者からのすべての財産の額を相続財産に加える必要がありましたが、改正後の相続時精算課税制度では毎年110万円の基礎控除額が創設されることになりました。つまり、毎年の贈与額から110万円を控除した金額を積み上げて2,500万円までは非課税、2,500万円を超えるとその超えた金額に対して20%の贈与税額を納付するという計算になります。これに伴い、これまでは相続時精算課税制度を選択した後はその者からどんなに少額の贈与でも贈与税の申告義務がありましたが、改正後では110万円以下であれば申告も必要ないということになります。

 

(5)相続時精算課税制度1本化への布石?

事前の予想では相続税と贈与税の一体課税になるのでは?と見る向きもありましたが、ふたを開けてみれば暦年贈与については持ち戻し期間が7年間に、相続時精算課税には基礎控除額ができてかなり使い勝手の良い制度になりました。国としては、これが最終的な体系とは思っておらず、ゆくゆくは相続時精算課税制度へ1本化したいと考えている可能性があります。

 

(6)適用時期

令和6年1月1日以後に行われる「贈与」から適用されます(同日以後に発生する「相続」ではありません)。

 

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