年次報告・継続届出書の提出について
今回は事業承継税制のなかでも、この税制の納税猶予を受け続けるために必要となる年次報告書及び継続届出書の提出について、掘り下げてご紹介したいと思います。
1. 提出期限
基本的には、贈与税の申告期限から5年間については、毎年都道府県に年次報告書を提出するとともに、税務署にも継続届出書を提出することとなります。そして6年目以降は都道府県に年次報告書を提出する必要はなくなりますが、税務署には3年に一度継続届出書を提出し続けなければならなく、かえって注意が必要になるものと考えられます。
①年次報告書
(1)提出期限 毎年6月15日まで(ただし、1年目~5年目のみ。6年目以降は提出不要)
(2)提出先 各都道府県
②継続届出書
(1)提出期限 毎年8月15日まで(1年目~5年目までは毎年、6年目以降は3年に一度提出する必要あり)
(2)提出先 税務署
*なお、継続届出書の提出書類のなかに年次報告書に係る確認書の写しを提出する必要がありますので、まず先に年次報告書を提出しておく必要があります。
2. 提出書類
①年次報告書 *基本的に印鑑を押す書類はありません
基本的には、事業承継税制の認定申請書類を提出したときとほぼ同じ書類を年次報告書においても提出することとなります。
(1)報告書
・年次報告書
(2)添付書類
・定款の写し(原本証明が必要)
・履歴事項全部証明書の原本(報告基準日以降に発行されたものに限る)
・株主名簿の写し(原本証明が必要)
・従業員数証明書及びその証明書類(報告基準日の従業員数)
*証明書類とは、例えば健康保険・厚生年金保険被保険者標準月額決定通知書、資格取得・資格喪失確認通知書等が挙げられます。
・報告基準事業年度の決算関係書類等(従業員数5人以上の会社の場合)
*具体的には、貸借対照表・損益計算書等の財務諸表を提出するとともに、事業実態を証明する書類として例えば固定資産税納税通知書や賃貸借契約書(そこで事業を行って いるか確認するため)のほか、請求書・納品書等の写しも添付する必要があります。
・各種誓約書
上記の書類の中で収集が大変となるのが、事業実態を証明するための添付資料である請求書・納品書等の写しでしょう。これは、前回報告日から今回報告日分までの各月1ヵ月毎の請求書等を1枚ずつ添付する必要があり、あらかじめ早い段階で担当者にお願いしておく必要があります。
②継続届出書
都道府県に提出した年次報告書の副本と確認書が戻ってきましたら、その他の添付書類とともに継続届出書を8月15日までに税務署に提出する必要があります。
(1)届出書
・継続届出書
(2)添付書類
・特例認定(贈与・相続)承継会社に関する明細書(特例措置)
*一定事由に該当した場合は「(同)別紙」も添付する
・定款の写し
・株主名簿の写し
・年次報告書の写し及びその年次報告書に係る都道府県知事の確認書の写し
*その他、一定事由が生じた場合は所定の書類の提出が必要となる
以上、年次報告書と継続届出書についてご紹介させていただきました。
決して事務負担が大きいものではありませんが、期限までに必ず提出しなければならなく、特に5年経過後は3年ごとの提出になるなどかえって提出忘れを誘発しやすいことにもなり、徹底した期日管理が必要となります。
会社及び顧問会計事務所が互いに期日を確認しながら、これらの提出を行っていく必要があるものと考えます。