贈与税について2
前回からの続きです。どのような改正内容になるのかは現時点で明らかにされていませんので、令和4年度税制大綱に記載された表現から考えてみましょう。
「適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることになれば、格差の固定化につながりかねない」
「(現在は)分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながらの財産の移転が可能」
「諸外国の制度も参考に」
「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税」
「相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直す」
~令和4年度税制大綱 基本的な考え方2(2)<相続税・贈与税のあり方>より抜粋~
可能性① 単純に持ち戻しの期間が長くなる
生前の贈与財産を相続税申告時に相続財産に加えることを「持ち戻す」と言います。現行の持ち戻しの期間3年が、欧米先進諸国並みに伸長される可能性があります。
諸外国の持ち戻し期間:イギリス7年 ドイツ10年 フランス15年 アメリカ一生涯
可能性② 持ち戻しの対象者が増える
相続人及び受遺者以外に対する贈与も持ち戻しの対象となる可能性があります。その場合、その範囲が直系卑属(孫やひ孫等)に限定されるのか、兄弟姉妹等の直系卑属以外の親族も含めるのか、あるいは全くの第三者までも対象になるのか等、その対象範囲も気になるところです。
可能性③ 基礎控除額が縮減される
贈与税の基礎控除額が縮減され、暦年贈与がしにくくなる可能性があります(例:110万円→60万円)。
可能性④ 相続時精算課税制度への一本化
現行の相続時精算課税制度は選択制となっていますが、「相続税と贈与税の一体課税」すなわち相続により財産を取得しても贈与により財産を取得しても、最終的に納める額が同じになるようにすることを追求する結果、限りなく現行の相続時精算課税制度に近づく可能性があります。
近い将来、上記のどれか又はいくつかの組み合わせにより贈与税の枠組みそのものが改正されると予想されます。ただ、どんなに早くても令和4年と令和5年(の途中までの可能性もあります)までは現行の税制による贈与が可能なので、贈与を検討されている方はお早めにどうぞ。