贈与税について
1. 相続税と贈与税
もし贈与税というものがなく、相続税しかなかったらどうなるでしょうか。ほぼ100%の人が生前に財産を贈与することを考えると思います。それを防ぐために贈与税が睨みをきかせています。相続税法の中に相続税と贈与税が規定されており、贈与税法という税法は存在しません。これは、贈与税が相続税を補完する役割を持つという証左でもあります。
2. 相続税と贈与税の一体課税を「匂わせ」
前年及び前々年の税制大綱では、相続税と贈与税を一体と捉えて・・・等議論されましたが具体的な改正内容までは踏み込まれず、「匂わせ」で終わりました。しかし、新聞や週刊誌でもたびたび取り上げられたため、国民への根回しは完了したと考えられている可能性があり、次の大綱で改正が発表されてもおかしくありません。
3. 贈与税の基礎控除額
贈与税の基礎控除額は110万円です。もともと基礎控除額は相続税法の規定による60万円でしたが、租税特別措置法の規定で2001年(H13年)以後の贈与から60万円を110万円に読み替えることとなり、現行の「毎年110万円以下の贈与なら贈与税の非課税」という運用になっています。
4. 相続税申告と贈与税の関係(暦年贈与)
現在、被相続人が相続開始前3年以内に相続又は遺贈により財産を取得した者に対して行った贈与は、その相続税の計算上、相続財産に加えることとなっています。裏を返せば、贈与して3年を経過してから相続を迎えれば、その財産は相続税の計算に含める必要がありません。
一方、上記以外の者に対する贈与は相続税申告とは関係ありませんので、贈与した瞬間に相続税の計算から切り離すことができます。
5. 相続時精算課税制度
上記4の暦年贈与と性格を異にするのが相続時精算課税制度を利用した贈与です。納税者の選択によりこの制度を利用すれば、2,500万円までの贈与は贈与時点で贈与税を納める必要がありません(超えた分については20%の税率)が、贈与者が亡くなった場合には贈与時期に関係なくその贈与者からの贈与財産全てを相続財産に加算して(=持ち戻して)相続税の計算をすることになります。
⇒これらの贈与税の仕組みが、近い将来大きく変わる可能性があります! 詳細は次回です。