相続等により引き継いだ宅地等の申告期限前の売却
1. 小規模宅地等の保有継続要件
特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社宅地等、貸付事業用宅地等のいずれについても小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、「その宅地等を申告期限まで有していること」といういわゆる保有継続要件があります(配偶者が取得した特定居住用宅地等を除きます)。特例の適用は受けたいけれど、早く売却したい場合、どこまでが認められるのでしょうか。
2. 申告期限までの間に売買契約を締結していた場合
相続が発生してすぐに小規模宅地等を売却すべく動き始め、申告期限までの間に売買契約を締結して手付金ももらいました。ただ、引き渡しは申告期限が到来するまで待ってもらい、申告期限の翌日に引き渡しました。この場合は、売買契約を締結しただけなので、小規模宅地等の特例を受けることができます。
3. 申告期限までの間に引き渡しまで完了していた場合
申告期限までに引き渡しが完了、ただし買主の厚意により申告期限までは変わらず住まわせてもらっていたとしても、所有権は移転し、その宅地等は買主のものになっていますので、保有継続要件を満たさないという判断になります。上記2と異なるのは、申告期限までに引き渡しが完了しているかどうかです。小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、引き渡しは申告期限後まで待ってもらう必要があります。
4. 売却する宅地等の選び方
被相続人が土地を複数所有している場合、一般的に単価の高い宅地等かつ減額割合の高い宅地等から小規模宅地等の特例を適用すると、より評価額が下がることになります。納税資金確保のために申告期限前に宅地等を売却する場合には、事情が許す限り、小規模宅地等の特例を受ける予定のない宅地等から売却した方が良いと言えます。