相続登記の義務化が始まります

1. 相続登記の義務化

 現在、日本全国の土地のうち、いわゆる所有者不明土地(不動産登記簿を見ても現在の所有者が判明できない土地又は所有者と連絡がつかない土地)は、国土の約24%に相当すると言われています。これほど多くの所有者不明土地が生まれてしまった主な原因は相続登記がタイムリーになされてこなかったことであるため、そのような土地をこれ以上増やさないためにも法律を改正し、相続登記が義務化されることとなりました。

 

2. 義務化はいつから?

 相続登記の義務化は平成6年4月1日からスタートします。ただし、スタートから3年間の猶予期間が設けられています。気をつけなければならないのは、本制度スタート前に発生した相続についても義務化の対象になるという点です。

 

3. 申請期限はいつまで?

① 相続人が1名、又は遺言により不動産を取得する場合

  相続により不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に遺言の内容を踏まえた登記の申請をしなければなりません。この場合、相続人申告登記(※下記参照)でも可となります。

 

② 3年以内に遺産分割が成立した場合

 遺産分割の成立により不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に当該遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請が原則となります。ただし、それが難しい場合には3年以内に相続人申告登記の申出(又は法定相続分での相続登記の申請)を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行います。

 

③ 3年以内に遺産分割が成立しなかった場合

 3年以内に遺産分割が成立しなかった場合でも、相続人申告登記の申出(又は法定相続分での相続登記申請)を行う必要があります(その後、遺産分割が成立したら下記Aへ、成立しなければBへ)。

⇒A 遺産分割が成立した日から3年以内にその内容を踏まえた相続登記の申請を行います。

⇒B それ以上の登記申請義務はありません。

 

※ 相続人申告登記(新制度)

 相続人が登記の申請義務を簡易に履行できるようにするため、

① 所有権の登記名義人について相続が開始した旨

② 自らがその相続人である旨

を申し出ることで、申請義務を履行したものとみなす新たに作られた制度です。

これまでも共有状態をそのまま登記に反映する「法定相続分での相続登記」による方法がありましたが、それよりも手続的な負担が小さくなっています。

 

4. 罰則の登場

 正当な理由がないにもかかわらず、3年以内に相続登記の申請をしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。「正当な理由」とは、数次相続が発生して関係者が極めて多数に上り戸籍謄本等の資料収集が困難な場合や相続人自身に重病等の事情があるケースが該当します。

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